黒執事 Christmas at midnight
第3章 後篇 聖なる時の選択を
「セバスチャン、止めないで頂戴。彼らにもね、厳しい現実とやらが必要なのよ」
「彼らもきっと反省していると思いますから、それくらいにしてあげましょう。しかし、問題はこの事態をどう切り抜けるかです。パーティーには今回身内しかご招待しない予定なので、暖炉にいつも以上に暖房に気を遣うこともないとは思いますが」
「事情を話しておけば、問題はないでしょうね」
「ただ……新しい薪を集めるとしても、この雪では……」
厨房の窓から外を見ると、驚くほどに降り積もり世界は真っ白に染まっていた。例えばセバスチャンが山の方まで薪のために木を切りにいったとしても、二次災害に繋がらないとも限らないし何より安全とは言えない。
「困りました。我が屋敷には、他に効率のいい暖房器具など……」
「セバスチャン、これならどうですかな」
湯呑を片手に現れたのは、田中さんだった。
「田中さん! これなら……とは?」
「こんなとこもあろうかと、先代が倉庫に大事にしまっていたあれを出すとしましょう」
「倉庫となりますと、地下になりますね。アリス様、一緒に着いてきてはもらえませんか? バルド達は厨房を綺麗にお掃除してください。では、田中さん案内をお願いできますか」
「こちらになります」
田中に連れられて、セバスチャンとアリスは田中さんの言うあれを探しに地下の倉庫まで下りていくのだった。
暗い地下室までは、燭台を持っていく必要がある。田中とセバスチャンは二人して燭台を手に階段を降りる。その後を追うのは、アリスだった。
ようやく地下についたところで、田中が倉庫の扉を開ける。