黒執事 Christmas at midnight
第3章 後篇 聖なる時の選択を
「芸術は爆発だっ!!」
ドンッ! と突然爆発音が響く。またあいつらは……とアリスは頭を抱えた。そっと中を覗いてみると、窯に大量の薪を入れて何やら料理らしきことをしているバルドの姿が。
「おっかしいなぁ、ピザが真っ黒こげだ。よし、もう一度……」
「バルド! もうやめた方がいいだよ! そろそろセバスチャンに怒られ……」
「メイリンの言う通りだよバルド! もうやめない!? 折角クリスマスだからって、張り切って料理しちゃおうって気持ちはわかるけどさ……」
「止めるんじゃねぇ! メイリン、フィニ!! 俺は……俺はシェフとして、一流のファントムハイヴのシェフとして、今日のクリスマスパーティーに最高の料理をだな……」
「いい加減にしろっ!!!」
アリスは思わず我慢できなかったのか、手にしていた分厚い本をバルドへ投げつけた。勿論その本は、見事に彼の頭に命中した。
「うえ!? アリス様!? も、申し訳ありません騒がしくて! それで、何か用ですかい?」
「アリス様はこんなところに来ちゃ駄目ですだ! お怪我の心配が……」
「もしかして……屋敷中の薪が足りないのは、ここで使っているせいなの?」
「薪? ああ! 薪なら全部、このピザを焼くために窯で使ってるぜ。余りならないぞ!」
「ない……? 一束も?」
「おう、ない」
「……そこで踊れ」
アリスは真顔でアサルトライフルを構えた。
「そ、それは私が大事にしまっておいた銃!?」
「メイリンのだと!?」
「アリス様! ごめんなさぁあああいっ」
三人の悲鳴が聞こえる中、セバスチャンがさりげなくアリスの肩をぽんっと叩き、引き金に添えていた手を離させる。