第2章 凱旋
咽る及川の背中を擦ってやりながら、先ほどの質問の答えを口に出す。
「そりゃもちろん。…主将さまがOKしてくれたらだけど…?」
意地悪く笑ってその顔を覗くと、少し頬に赤みが差した気がした。
そして、及川はこれでもかというほど激しく首を縦に振った。
これ、きっと”OK”ってこと言いたいんだよな?大丈夫?激しすぎてもげそうだけど。
岩泉からの指摘を素直に守っている及川は、口の中から食べ物がなくなると首の動きを止め、とびきりのイケメンスマイルをこちらに向け、嬉しそうに両手を広げた。
「もっちろん!!悠だったら、周りが駄目って言っても及川さんの人気者パワーで絶対OKにさせてみせちゃうよっ!…ね?岩ちゃ「じゃ、今日から参加できそうか?」「おー。了解。一応ジャージ持ってきてたしね。」___って聞いてないし!!??(泣)」
及川そっちのけで話す俺達に、あからさまにショックをうけるアホ川…否、及川。
あ、何かこうゆうの懐かしいわ。うん。
楽しい。
昔から俺と岩泉がツッコミ役兼Sチームで、及川は残念ポジション(←)で。
5年ぶりでも変わらないもんだな、なんて感傷に耽ってみたり。
「お前、今のポジションどこ?」
「ん?俺はね、スーパーエース。スパイク命だからね。」
「すっげぇ!超攻撃的ポジションじゃん…。うわ、超かっけ~!」
「スーパーエース!…まぁ納得か。…で、代表は?」
「え、一緒だけど。」
俺の言葉に唖然とする二人。え?俺なんか変なこと言いました?
「なっ…じゃあ、”ウシワカ”は…?」
目を見開いたまま信じられないという表情の岩泉。
及川に至っては持っていたパンを落としたことすら気づいてない。
「あ?若?あいつはWS、多分高校でも同じだろ?…俺ら代表のダブルエースなんよ。」
そ知らぬ顔で落ちた及川のパンを拾い上げて、もったいねぇ、と呟く俺を及川が凝視している。
「…ダブルエース……」
及川は呆然としたまま、俺の言葉を繰り返している。
そんな様子を見ていた俺は岩泉から聞いていた及川と牛島の関係を思い出し、ハッとした。
____Triumph of the strong.