第6章 奇襲
ボールを片手にエンドラインに辿り着いた俺は、手元のボールをシュル、と回転させる。
ダンッ
手に馴染んだボールを一度だけ体育館の床へとバウンドさせる。
「____さ、大地。………いくぞっ!」
コートの向こう側でレシーブの深い構えをとる澤村がゆっくりと頷く。
「_____来いっ!……………銀鏡っ!!!」
自然と上がった口角。
体育館の壁の位置まで下がっていた俺は、手に持っていたボールを前方へと高らかに上げる。
ピッ
キュッ
同時に助走の姿勢に入り、床を蹴る。
キュキュッ
助走により勢いの付いた体を深く沈め、強く床を踏み込み
ギュッ
跳ね上がった体は高みへと昇っていく。
ドッ
振りあげた左手に吸い込まれるように触れたボールを思い切り打ち抜く。
ギュアッ
____バチィッ!!
「_____ぐっ………!?」
超高速ドライブのかかったボールが、空気を切りながらコートの向こうへと音をたて飛んでいき、狙い通り澤村の腕へと落ちると、その強すぎる勢いで彼の体ごと弾き飛ばした。
地へと降り立った俺は首を傾げ烏野側のコートを見つめる。
「…………満足してもらえた?………ま、一発目だからイマイチ勢いが足りなかったけど。」
__Greeting the beginning.