第5章 好敵手
やっぱり………
澤村は俺の思った通りの男で
"最強"だの"サービスエースだけで試合が終わる"だの言われてもなお、そのサーブを受けてみたい、という最高に俺を昂らせる言葉。
その言葉により、遊び半分な気持ちでいた俺の心に炎が灯る。
あーぁ。
俺のこと煽っちゃったねぇ。
俺の中の勝負に飢える猛獣が目を覚ましちゃったみたいだよ?
ここまで来たら、とことん
俺を楽しませてくれよな_____?
「ははっ…!やっぱ大地は期待を裏切らないわ。……いいよ。………ただし、言ったからには、全身全霊で…………止めに来いよ?」
ニヤリと挑戦的な顔つきで澤村に視線を向けると、闘志の宿る瞳とぶつかる。
「………あぁ。そのつもりだ。」
澤村の答えに満足気に笑う俺。
早くボールが触りたくて体がウズウズと落ち着きをなくす。
「___皆お疲れさま~………ってあれ?!た、確か君は青葉城西の……!?ど、どうしてここに!?」
突如体育館の入り口に現れた中年の教師らしき男。
………あ?
確かこの前の練習試合にも来ていた気がする。
……あの人が烏野の監督なのか………?
「__監督さん、ですよね?どうも、お邪魔しています。青葉城西の銀鏡悠です。」
ここはとりあえず、挨拶をと思い、丁寧に頭を下げると、教師らしき男は顔の前で手を振りながら謙遜しだした。
「えっいや、僕は監督ではなくて、ただの顧問なんですっ!あっ、どうもっ!顧問の武田ですっ!」
ペコペコと頭を下げながら腰の低い態度で俺に接する武田に、ニコリと笑顔を向ける。
「先ほど先生がおっしゃった"なぜ俺が烏野にいるのか"ですが、それは俺が烏野に道場破りに来たからです。」
俺の言葉に目を見開き驚きを露にする武田。
「どっ道場破りっ!?」
「はい。でも、学校には内緒で来てしまったので、その代わりと言ってはなんですが、これからやる試合の全てをビデオに撮って頂いて構いません。…また公式戦で戦うこともあると思いますし……。いかがでしょうか?」
____Negotiation.