第5章 好敵手
【 澤村side 】
「…………はぁ。」
色々な私情が飛び交う中、俺は大きくため息を吐き出すと、再び悠へと視線を戻す。
「いや、俺のサービスエースだけで試合終わっちゃうしねぇ。…それじゃ来た意味ないからなぁ。」
「………そうか。だったら俺らも精一杯お前に食らいついていけるよう動くまでだな。………ただ、1度で構わないから、サーブも打ってもらえないか?……受けてみたいんだ。俺が。」
伺うような視線を向けるとニィと上がる悠の口許。
その目が一瞬ギラリと光り、たった一瞬だったにも関わらず、俺の体はビクリと硬直した。
あれは___
獣の持つ獰猛な瞳。
生き物を本能的に圧する力。
_____ Ferocious beast.