第5章 好敵手
【 澤村side 】
__ディグで対応………!?
ブロックならともかくレシーブでなら俺たちのスパイクは止められる、というわけか………
さすがは"最強"と呼ばれるだけあって、強気だな。
………いや。きっと事実なんだろう。
銀鏡が相手にしてきた選手やチームは世界レベルの相手。
それに比べたら俺たちなんてお遊びみたいなもんだろうが………
一方の悠は楽しげに笑顔を見せながら澤村たちを見ている。
「……それと、これは俺の優しさとして………スパイクは5割程度の力にしとくから。……怪我させたくないしね?」
______なっ!?
怪我させるって………
どんだけな威力なんだ…………!?
信じられないという表情のまま見つめていると、視線の先、思い出したような表情を見せる悠。
「あ、あと、俺はサーブは打たないからね。それじゃ面白くないし。」
"面白くない"という言葉に反応する田中と影山。
「なっ!?面白くないって何すか、それ。……なめてんすか?」
「どうして打たないんすか!?エースならサーブも凄いんですよね!?見せてくださいっ!!」
「…こら!落ち着けお前たちっ!」
飛びかかっていきそうな二人の首根っこを掴み、制止させると疎ましげに見つめてくる二人の目。
影山はバレー馬鹿としての純粋な興味なんだろうが、田中は………
間違いなく清水の件が絡んでのこの反応だろうな……。
その証拠に今田中の視線は俺と清水のいる方とを往き来している。
その視線の先の清水は、持っていたタオルを抱き締めるように抱え、銀鏡の一挙一動に熱い視線を送っているわけで。
____Personal feelings.