第5章 好敵手
優しい悠くんでも、さすがにそんなワガママばかり聞いてあげられませんよ。
「~~~~俺もいく!!」
「___却下。」
飛び付いてきた及川の頭に手刀を落とし嗜める。
それでもなお食い下がる及川だったが、俺のとりつく島もない様子に諦めたのか静かに俯いていた。
「ったく……お前のことだ。烏野のやつらに手も足もでないくらい潰してくんだろーが、ほどほどにしてこいよ?」
岩泉の拳が俺の肩に、とん、とぶつかった。
その先にはニィと口角を上げ笑う岩泉の顔。
「……わぁってるって。本当に遊び程度だからさ。」
___スッ
目の前に出された及川の掌。
意味がわからずその手を見つめていると、鍵、と言う声。
声の主を見上げると唇を尖らせ不貞腐れた顔で俺を見ている及川がいた。
「鍵?なんの?」
「… 悠ん家の。……先行ってるから、貸してよ。」
………あぁ~~~。
今日もお泊まり……なのね………
最近多くねぇか?
昨日も泊まってたし。
あれ?2日に1回は泊まりにきてねぇか?
多すぎだろ。
つか殆ど住み着いてんだろ。これ。
……及川の親も親なんだよ
この前及川の家に行ったら「息子をよろしくね。」って言われたしね。
え?よろしくって何?って本気で思ったよ。
嫁入りかっ!?
ってツッコミそうになったし。
結構です………結構ですから!
ちゃんと親元で生活させてあげてください!
「……はぁ……鍵、鞄の中だから後で渡すわ。」
___I do not want to admit.