第5章 好敵手
【 烏野高校side 】
そして、今になり、やっと事の重大さに気づいたのか田中は愕然とした表情で遠退いていく清水の後ろ姿を見つめていた。
「………お、お、俺は、何てことをしてしまったんだ………」
田中の両肩にぽんと置かれた2つの手。
「…他人の迷惑も鑑みず大声で騒ぐからこうなるんだ。……まぁ、あれだ。清水には誠心誠意謝ることだな。」
「あちゃ~だいぶやっちゃったなぁ、田中。……ドンマイ!」
慰め半分呆れ半分な2人の言葉に、涙を流す田中だったが、その横で今さら田中の言っていた意味を理解したのか動揺を見せる日向がいた。
「えっ!?えっ!?清水先輩って日本代表のエースの人のこと好きなんですか!?」
日向の言葉に菩薩のような表情になる田中。
「………皆まで言うでない。日向よ………。現実は常に我々に厳しいものなのです。」
「たっ田中さぁん…………っ!」
何か通じ合うものがあったのか2人は、ひしっと抱き合った。
他の烏野メンバーはというと、二人を無視してさっさと門を出て歩き始めていた。
「………よし。じゃ、戻ってミーティングやるぞ。」
______その頃の悠………
「__っヘッブシっ!………ぐしゅ……」
「あれ?悠風邪~?大丈夫~?」
盛大にくしゃみをした俺を心配そうに覗き込んでくる及川の頭をワシワシと掻き乱す。
「………んなわけあるか。早く戻ろーぜ。ボール触りたい。」
「ふふふっじゃあ、大好きな悠のために特別に及川さんがトスあげてあげるね♪」
「………あ、じゃ、矢巾に頼むからいいわ。わざわざ及川さんの手を煩わせるのも悪いんで。」
距離感バッチリに話す俺に泣きそうな顔ですがり付く及川。
「えっ!?矢巾っ!?絶っっ対ダメ!!俺が上げるっ!上げさせてください!!悠さま~~~!!」
「………さぁ、どうすっかなぁ。及川さんに悪いからなぁ………」
「悠~~~~~」泣
____Crow who go back.