第5章 好敵手
及川を連れ戻す次いでだ。
俺も主将くんを冷やかしに行っちゃうよ?
校門前に集まる黒いジャージの集団の視線は、門の前に立つ及川に集まっていた。
ムカつく笑顔で挑発的な発言をする姿に、坊主頭の威勢のいいヤツがあからさまに嫌そうな顔をする。
おーおー
徹のやつ、相変わらず性格わりぃなw
烏野メンバーたちの顔、雲ってんぞー。
「レシーブもうまくなるっ!」
先ほどの試合で見事な移動攻撃を決めたオレンジ頭のチビッ子が及川へと食ってかかるも、当の及川は相手にもならないというように鼻で笑った。
「レシーブは一朝一夕でうまくなるもんじゃない。………そこの主将くんならわかると思うけど。_____!悠っ!」
俺を見つけた途端、先ほどまでの嘲笑うような表情から一変して、嬉しそうな笑顔を見せる及川にため息をもらす俺。
及川に呼ばれたことで烏野メンバーの視線はものの見事に俺へと集まった。
「徹、いつまで油売ってんだ。戻んぞー。」
何食わぬ顔で及川に声をかけると、俺の腕へと飛び付く及川。
……あまりの従順さに耳と尻尾が見えそうだ。
「はーい☆……じゃあね、烏野の皆さん♪」
バイバイと手を振り、去ろうとする及川だったが、ピタリと足を止めたまま動こうとしない俺に、不思議そうな顔で覗き込んできた。
「…………ねぇ、烏野の主将くん。」
真っ直ぐにその顔を見つめると、驚いた様子で見つめ返してくる烏野の主将。
「……な、何?」
なぜ呼ばれたかわからないという表情で俺の出方を探っている。
「名前、教えてよ。」
「え?な、名前?………あー…と、澤村だ。……澤村大地。」
澤村大地、ね。
俺のことも楽しませてくれよな?
心の中で挨拶をすると、俺はにっこりと笑顔を向けてから及川の方へと顔を戻した。
「じゃあね。大地。」
___Ridicule.