第2章 凱旋
はい、俺は今、逃亡しています。
え?何から?
そりゃ女の子たちですよ。
捕まったら最後、俺の紳士スイッチ入っちゃって相手してしまうからその前に逃走してます←
んで、逃げてきたのが屋上。
及川と岩泉も一緒だから、約5年ぶりの幼馴染全員集合。
「いいね、何か。やっぱ楽だわ。本当。」
突然の俺の言葉に目を見開く二人だったけど、すぐに口許を緩ませ笑顔を返してくれた。
俺もそんな二人に笑顔を返すと、そうだな、と岩泉。
だが、笑っていた岩泉の顔は一瞬にして眉間を寄せ、俺を見ている。
「…で、どうゆうことだ?一昨日話したときは、んなこと言ってなかっただろーが。あ?」
凄んでくる顔…怖いですよ?岩泉さん…?
「や、一たちのこと驚かしてやろーかなって。…ごめんな?」
「…おかげ様ですげービビッた。でも、むかつくから後で何かおごれ。」
「へっ!?…あー…はい…ワカリマシタ。」
俺は頭を下げて謝っているが、岩泉の表情は固いまま。怖いって、本当!
すると、今まで静かに俺の横にぴったりとくっついていた及川が口を開いた。
「……岩ちゃん、連絡取ってたんだ……。俺なんか1年以上連絡しても返事すら来なかったのに……ぐす」
静かに涙を流す及川に岩泉は苦笑し、かける言葉に悩んでいた。
俺はというと、ここまで凹ましてしまったことをさすがに申し訳なく思い、ごめんな、と謝りながら小さくなった背中を擦る。
「本っ当ごめん!俺、向こうで結構忙しくて…ハイスクール入ってからは本当自由な時間とかほとんどなくて…いや、こんなん言っても言い訳だよな。……本当、すまん!!」
ちらりとこちらに視線を向けた後、及川は静かに俺に抱きついた。
俺は俯いた頭を撫でながら、ひたすら謝って。
「……なんで……何でそんな忙しかったんだよ」
ぽつりと吐き出された言葉。
「あ?俺、U-19の日本代表に選ばれてさ、部活の練習と代表の練習でこっちきたりとか、本当目まぐるしくてさ。」
「は!?U-19…!?日本代表…?…つか、こっち来てたって…?」
あー………これ、墓穴掘ったな……
__dig a pit for oneself.