第5章 好敵手
「「「「「「あざーっした!」」」」」」
挨拶が済み、選手らがベンチへ戻ってくる。
俺は腕を組み仁王立ちでそれを迎える。
「……………………。」
気まずそうに目をそらすメンバーたち。
特に金田一に於いては今にも泣きそうだった。
………別に取って喰うわけじゃねぇんだけど……
負けず嫌いな俺の前で練習試合であれど"負ける"姿を見せるなんていい度胸だよなぁ。
せっかく俺が出たい気持ちを圧し殺してここでいい子にしてたっつーのに。
「………わりぃ。……… 悠。やりにくい相手だったわ。まじで。」
「………そうか。……だが、俺に言い訳は無用だ。」
俺の言葉にビクリと反応する岩泉の体。
ふふふ………
岩泉よ……
いつもは俺が小さくなっているが、今はお前が俺に萎縮する番だ。
お怒りモードの俺は怖かろう。
ざまぁみろ。はっはっはー!
「………ま、いいよ。公式戦で当たった時は今日のお返しとして俺様が直々に潰しに行くし。……そん時にお前らも必死こいてくれんだったら許してやろう。」
ニヤリと不敵な笑みを向けると、目を見開く岩泉たちだったが、その表情はすぐに笑顔に変わっていく。
「んなこと言われるまでもねぇよ。……それにうちは二人揃ってのエースだからなぁ? 」
「おっ、俺も悠さんの足を引っ張らないよう頑張ります!!」
「公式戦では負けねぇよ。次は勝つし。」
「今回は悪かったよ。…次はお前と一緒に勝つから。」
それぞれが決意を新たに声をあげた。
その声に満足した俺は微笑み、頷きを返す。
「悠~~~!何アレ!?本っ当、ムカつくわ。」
不機嫌丸出しな様子の及川が例のごとく俺へと飛び付いてきた。
「……お前の後輩、なかなか厄介だな。でも、あの移動攻撃は痺れたよ。いいね……俺もやりたいから、今度トスあげろよ。徹。」
アホみたいに跳ねた及川の髪を引っ張りながら呟くと、拗ねたような顔で俺を見返す及川。
「え~~~~俺あんな神業トス上げれないもん。無理無理。___っぁだっ!?」
____Following what I win.