第5章 好敵手
俺の想像通りメガネくんの元へと飛んでいったボールは高い弾道を描き、青城側のコートへと戻ってくる。
「チャンスボールッ!」
「ほらほら、おいしいおいしいチャンスボールだ。しっかり決めろよ、お前ら。」
及川のムカつく言葉とともにレシーブされたボールがセッターへと渡る。
そこにブロックを振り切った金田一がアタックフォームを取り、スパイクを打ち込もうとした。
その時_____
烏野側のコートの中で、金田一のスパイクにワンタッチを決めたオレンジ頭のチビッ子が、着地と同時に物凄いスピードでコートの反対端へと走っていき
飛んだ
「_______っ!?」
勢いのついたまま左上へと跳ね上がった体は、その小さな身長からは想像できないほど高い位置に到達すると、その右手でボールを捉えた。
超高速__"移動攻撃(ワイドブロー)"!?
チビッ子の手から放たれたボールは、微動だに出来ずにいた及川のすぐ横を通り、コート内へと着地した。
その及川の顔は驚愕しており、何が起きたかわからない、という表情で。
俺はというと、目を見開いたまま烏野コートにいるオレンジ頭のチビッ子に釘づけになっていた。
ピピーーーーー!
「25対23___セットカウント2ー1!勝者っ烏野高校!」
試合を告げる笛の音とともに、烏野に軍配が上がった。
勝利に喜ぶ烏野サイドとは裏腹に疲れたようすを見せる青城メンバーたち。
その中で及川は、眉間にシワを寄せた苛ついた笑顔で烏野メンバー……影山たちを睨み付けていた。
そこに岩泉が近寄り、その頭を叩いた。
「……ほら、整列っ!…今はあーだこーだは後にしろ!」
「ちょっ!?いったーい!!岩ちゃんのせいで頭、バカになったらどーしてくれんの?」
「は?今さら何言ってんだ。てめぇは……。」
「ヒデェっ!わーん。及川さん泣いちゃう~~~!!悠~~慰め「ごめんなさい。」っんなっ!?それ、どーゆー意味!?」
叩かれた頭を擦りながらいつもの調子に戻る及川。
____It is I hate losing.