第5章 好敵手
【 烏野高校side 】
「……………銀鏡…… 悠…。」
小さく呟かれたマネージャーの清水の声
その声に烏野メンバーの視線が一斉に集まる。
「………ははは、やっぱそうか……。」
焦ったような引きつった笑顔を見せる菅原に、澤村は不思議そうに首をかしげた。
「おい、スガ…?やっぱりって___」
「U-19………日本代表選手。」
再び清水の口から漏れた言葉に、辺りの空気がピシリと固まる。
「………そう。……し、しかも銀鏡は………その中でも群を抜いた最強アタッカーで、絶対的エース…。」
「「「「「「なっ__!?」」」」」」
(((((最強アタッカー!?日本代表のエース!?)))))
「な、何でそいつが……青城の、ジャージを着てるんだ…?」
信じられない、という表情のまま青城コートを見つめる澤村。
すると一連の様子を眺めていた及川が、ふふ、と小さく笑った。
「何でって……それは悠が、うちのチームに入ったってことだよ。……驚かせちゃって、ごめんね?」
クスクスと笑いながら去っていく及川の後ろ姿を呆然と見つめる烏野メンバー。
「と、とにかく!今は試合に集中しろ!最終セット絶対取るぞ!」
「おっおうよ!」
影山、日向の声にハッとすると、再びコートへと戻っていくメンバーたち。
その胸中は穏やかではなかったが、今は目の前の試合に集中せねばならない。
(……でも、ジャージ着たままだし…及川みたいにアップにいく様子もない。……今から出る感じじゃないか)
「一本っ!ナイッサーー!」
なおも冷や汗が流れるのを感じながら、静かに青城ベンチを見つめる菅原だったが、隣に立つ山口の声援により、再び自陣地側へと意識を戻す。
(いっけね…。今は銀鏡がどーこー言ってる場合じゃなかったわ。)
「大地ーー!ナイッサーー!」
視線の先のコートに立つ選手たちは、皆一様に最終セットを自分達のものへとすべく、更なる闘志を燃やしていた。
____Men feel the wonder.