第5章 好敵手
【 烏野高校side 】
笛の音とともに青城側がタイムアウトを取った。
「きゃ~♡及川さぁん♡」
「銀鏡くぅん♡格好いい~♡」
突如こだまする女子たちの黄色い声に田中と日向と影山がピクリと反応する。
「____っ!」
「な、何だ?!女子の声だぞっ!?」
「女子の声だっ!」
彼女たちの目的は先程体育館へとやってきたバレー部員らしき男2人のようで、それぞれ手を振り、止むことのない黄色い声援に応えていた。
「……影山くん。あの優男たちはぁ……誰ですか?僕、とても不愉快です。」ピキピキ
途端にイライラを露にし、青城ベンチを睨み付ける田中。
「バカっ!すぐに喧嘩腰になんじゃない!」
そんな田中を嗜める烏野の主将である澤村の横で、一人表情を強ばらせている影山は、ただ一点を見つめていた。
その視線の先には彼の中学の先輩である"及川徹"の姿。
「あの人は……及川さん。超攻撃的セッターで、攻撃力もチームの中でトップクラスだと思います。………あと凄く性格が……悪い。………月島以上かも」
「それはひどいなっ!……お前の知り合いってことは……北川第一のやつかよ?」
全身に緊張の色を帯びた影山が小さく頷く。
「はい……中学の先輩です。」
すると、コートの向こう側から歩いてくる及川の姿に烏野メンバーの視線が集まる。
「やっほー!トビオちゃん。久しぶり~育ったね~」
「俺……サーブとブロックはあの人を見て覚えました。」
((((((影山のあのサーブの!?)))))
「実力は相当です。」
影山の言葉に息を飲むメンバーたち。
それとは真逆に余裕のある笑みを浮かべながらピースサインを作る及川。
「元気に王様やってる~~?」
烏野メンバーが 驚く中、菅原の視線はもう一人の存在へと向けられていた。
「え………………?あいつって……」
驚き見開かれたその視線の先___
青城メンバーに囲まれた整った容姿の長身の男。
__The emergence of formidable.