第5章 好敵手
そしてやって来た火曜日____
俺は監督の命により、及川の通院に付き合わされていた。
出れずとも試合を観ていたかった俺としてはフラストレーション溜まりまくりな時間を過ごしていたわけで。
「………チッまだ呼ばれねぇのかよ。」
異様に混雑している待合室の中、イライラを露にしている俺と鼻唄混じりに呑気に微笑む及川。
「怒んない怒んない。せっかくの格好いい顔が台無しだよ?」
覗き込んできたニヤつく及川の頭を軽く叩きながら、俺は盛大にため息をついた。
「……ねぇねぇ、皆が部活中にこうやって二人で抜け出してるのって、何かドキドキしない?秘密のデートみたいでさぁ♪」
「………………。」
多分、今の及川の発言は違う国の言葉だったと思う。
英語と日本語ならわかんだけどなぁ。
意味が全くわかんなかったし、多分知らない聞いたこともない言語だと思うんだ。
__うん。きっとそうだ。
一人納得した俺は隣で目を輝かせるクソ及川の存在ごと無視することを決め、未だに呼ばれない診察室の扉を見つめていた。
「ちょっ悠っ!?ガン無視とか酷いから!!」
………何か喋ってたか?
診察を終え、学校へと向かう道中。
及川の足首の捻挫は無事完治しており、今からの練習試合にも参加して構わない、とのことであった。
そのため俺たちは少しでも早く試合に参加できるよう駆け足で学校もとい第三体育館を目指していた。
「もしかしたら岩ちゃんたちの大活躍で、俺が出る幕もないかもねぇ。…まぁ、それでも出るけどね。」
「そーかもしんねぇな。でも、お前が気にかけるくらいの天才様なら、ある程度は魅せてくれんじゃねぇの?」
「ふふ。何はともあれ、一人ぼっちの王様の姿を見れるのは楽しみだなぁ♪」
「……言い方に悪意があるよな。お前って……」
____feeling growing.