第5章 好敵手
「チッ……お前、烏野と…影山との対戦どうすんだよ。」
岩泉の言うことはごもっともなわけで。
「えー?大丈夫でしょ。軽く捻っただけだと思うし。」
「は?!捻挫を甘くみんなっバカ及川っ!……チッ病院行くぞっ!」
「ちょっと悠~!心配症すぎ!…そんなに俺のことを好きなの?」
……捻挫じゃなくて骨折にしようか?
岩泉と別れ、クソ呑気なアホ川をつれて病院に行くと思っていた通り"軽度の捻挫"との診断がついた。
「全治4日ほどですね。それまではバレーやっても走ったりジャンプしたりは足に負担がかかるので避けてください。」
ん………?
4日って……
今日は金曜だから、来週火曜で丁度4日になるんじゃねぇ?!
え、それってギリギリアウト………?
「そんなに痛くないのに、先生も慎重だよねぇ。」
なおも隣で機嫌良さげに話をしている及川を、怪訝そうに見つめる俺。
「………で、なんで悠がそんな顔してんの?」
不思議そうに覗き込まれ、視線がぶつかる。
「……だって、お前………影山と………」
そんな俺の心配を余所にクスクスと笑い始める及川に、俺の表情は曇る一方で。
「ふふっ……何だかんだ言っても悠は俺に優しいよねぇ。別にいいんだよ。どうせ練習試合だし。………俺がアイツをぶっ潰したいのはあくまで"公式戦"での話。それに………」
次の瞬間、及川の指が俺の胸に触れて。
「俺がアイツを倒すときには…………お前も一緒にコートの上に立っていて欲しい。」
ヘラヘラとしていた表情は一変し、真剣さを帯びた目付きに変わる。
その目を見つめたまま、俺はそっと口を開く。
「………わかった。」
____Don't worry!