第5章 好敵手
……………気づいた時には手遅れだった。
「「「悠くぅ~ん♡おはよぉ♡」」」
「「「悠先輩っおはよぉございまぁす♡」」」
「やっぱり及川くんよりも銀鏡くんの方が格好いい~♡♡」
「これ、先輩のためにブラウニー焼いたんですぅ♡」
いつのまにか大量の女子に囲まれてしまった俺。
しかもその数はどんどんと増殖していくわけで。
すぐに入ってしまう紳士モードのスイッチ。
「おはよう。みんな。」
優しい笑顔で彼女らに対峙する自分が心底憎い。
もう俺には退路はなさそうだ………
__________!?
背中に刺さる鋭い殺気…………
多分俺も後ろの鬼によって虫の息となるだろう………
ドンマイ。俺………
「自分がモテないからって僻まないで____」
「いや、お、落ち着け、一っ!ふ、不可抗力なん__」
ゴッ、ガツンっ!
「「い"っでぇ~~~~!!!!」」
…………岩泉は本当の鬼だと思う。
こんなやりとりがほぼ毎日繰り広げられるようになることを、このときの俺は気づいていなかった。
恐るべし、女の子。
恐るべし、俺の紳士モード。
そして、何よりも恐ろしい岩泉の顔←
_________Horrible.