第5章 好敵手
頭を抱えて俯く俺。
そして、ベッドの上を我が物顔で占領し、あろうことか自分の横のスペースに俺を呼び込むアホ川。
やはり、あいつの思考は人間離れしすぎてると思う。
しかも、あのキラッキラしたイケメンスマイルがとんでもなくムカツク。
「ほらほら、早く~!」
誰かボール取ってくれません?
__________仕留めるんで。
……必死の攻防戦の末、敗北してしまった俺は、そのまま及川の抱き枕となり夜を明かしてしまった……………
暑ぃし、うぜぇし、キモいし
もう本当、…………………最悪な夜でした。
当のクソ川はというと、
スゲー気持ち良さそうな顔でぐっすり眠ってらっしゃいましたよ。
ムカツクぐらいな!!!
え?
どんな攻防戦だったかって?
…………………………あっち向いてホイ3本勝負……で………す。
何か知んねぇけど、アイツじゃんけんスゲー強くて………
あろうことか、
_______ストレート負け………………
己の弱さに、泣けました…。
そして、俺の律儀な性格により、まんまと及川の希望を叶える結果となってしまったわけだ。
ヤツが起きたらとりあえず殴ろうと思う。
そのイケメン面をね。
もう、ボッコボコにしてやんよ☆←
_____とまあ、最悪な夜が明けて、
今は朝の5時。
とっととこのクソ気持ち悪い状況から抜け出したい俺は、爆睡中の及川をひっぺがし、洗顔と着替えを済ませランニングへと向かった。
……イライラには運動が一番だよね♪あはは。
朝の澄んだ空気を感じながら、風を切り走る。
リズミカルに動く手足は、大地を蹴り、身体を前へ前へと進んでいく。
風が頬を撫でる感触が堪らなく好きな俺。
ロードワークにしている10kmまであと少し。
楽しい時間ってあっという間だよね。
タオルで汗を拭いながら家に着くと、未だに室内は静まり返っていた。
まだヤツは寝ているらしい。
………はぁ、シャワー浴びたら朝食でも作るか…
__Morning of moments.