第4章 理由
すぐに崩れたその顔は怒りに満ちているようで
「___違う!軽んじてなんていないっ!!!でも・・・生まれつきの”天才”のお前には・・・分からない!!!」
________っ!
「・・・何だよ・・・それ・・・・・・。お前まで・・・俺を・・・」
及川の言葉に目の前が暗くなっていくのを感じる。
・・・あ、やべぇ・・・俺、こいつにまでこれやられると・・・
__________きつい
「・・・・・・。」
俺の様子にハッとする及川。
「やっ違うっ!そういう意味じゃなくて・・・っ!!!」
「・・・や。うん。分かってる・・・から。」
「ごめっ・・・そうじゃない・・・んだ。本当に・・・ごめん。悠は・・・」
部屋に張り詰める沈黙が重く感じられる。
”天才”か・・・
「なぁ、徹。俺が人より唯一秀でてるところ、分かるか?」
「_______え?」
「・・・機敏性。・・・・・・それだけだ。」
「それだけって・・・・・・でも悠の技術って機敏性だけの問題じゃなくない?」
「・・・ああ。だから、そんだけ努力してきたんだよっ!俺はっ!____だから、お前も・・・そんな”天才”とか”凡人”とか、そんなくだらねぇことで、自分のしてきた努力を軽んじるんじゃねぇっ!!!」
目を見開き、呆然と俺を見つめる及川。
そんな及川を真剣な目で見返す俺。
どうか_____
伝わって欲しいんだ。
「お前のやってきたことを、死に物狂いで練習を重ねた時間を、気持ちを、努力を____そんな風に言うんじゃねえ・・・!お前は・・・・・・お前は・・・その努力があったから、今その位置に立っているんだろうがっ!強い相手にはな、1対1で負けても、6対6で勝てれば同じ勝利なんだよ。チームで勝てば、それで”勝ち”なんだっ!」
「___っでもっ!でもっ・・・俺は…俺達は・・・・・・ウシワカに・・・白鳥沢に・・・・・・勝てない。」
弱くなる瞳。
____Proof of effort.