第4章 理由
柄にもなく及川の体温を心地よく感じてしまった俺は、しばらくの間黙って及川に抱かれていた。
その間、及川は楽しそうに鼻歌を口ずさみながら俺の背中を撫でていた。
むかつくけど・・・
今だけは・・・
・・・・・・・・・ありがと。
「・・・どういたしまして♪」
「え?・・・お前、今何で・・・?」
「・・・・・・ん?だって今・・・心の中で”ありがとう”って言ったでしょ?」
目を細めて笑う及川。
口にしていないはずの言葉はなぜか及川に届いていた。
・・・だてにアイツも俺の幼馴染やってねぇってことだな。
「・・・言ってねえよ。バーカ。」
素直じゃないね。・・・・俺も。
「でもさ~なんで、俺の連絡無視してたの?」
不機嫌そうな顔つきで俺を見ている及川。
・・・やっぱ根に持ってやがったか。
ま・・・俺が悪いんだけどな。
「あ―――・・・それな。いや。本当すまん。」
「もう!すまんで済まさないでよ~。説明して?ちゃんと。」
「・・・分かってるっての。___ま、さっきの俺の話で俺が一と連絡取ってたのは分かっただろ?そん時聞いてたんだよ。・・・お前の話。」
俺の言葉に及川の眉がピクリと反応する。
「俺の・・・話?」
「そ。お前と・・・若のこと、・・・影山ってやつのこと。・・・でもって、そん中でもがむしゃらに頑張ってきたお前のこと。」
「_____っ!!」
一瞬苦しそうに顔を歪める及川。
だがすぐにへらりとしたいつもの笑顔に戻ってしまう。
「なんだ~知ってたの?結構いろいろあったんだからね~これでも・・・。」
んだ、その顔・・・
俺の前で、んな顔してんな。バカ及川。
「____うっせえ!!お前の過去を・・・お前が軽んじるんじゃねえ!!!」
感情のままに今度は俺が及川の胸倉を掴んだ。
目の前の及川は目を見開き、俺を見ている。
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