第4章 理由
俺は及川の胸倉をぐい、と自分の方へと引き寄せる。
すぐ目の前にある及川の瞳は揺れていて、
対峙する俺の目にも熱い闘志と涙が浮かぶ。
「ばかやろう……っ!そのための…………”俺”だろうがっ!!!」
開かれた及川の瞳。
「_____っ!………悠っ」
「言っただろう……?俺が……お前を、チームを、………頂点へと連れて行く、と。」
ニヤリと笑うと、崩れていく及川の顔。
「悠゛~~~~~~~~!!!」
その顔は涙と鼻水でぐしょぐしょ。
………ったく、残念なイケメンだなぁ。
近くに落ちてたタオルで顔を拭ってやりながら、俺は心に強く誓う。
これからは、コイツらと共に上を目指していこうと。
「………悠…。ありがと。」
鼻を赤くした及川がポツリと呟く。
「いや。……俺さ、お前の頑張ってる姿を隣で見ていることは出来なかったけど、一から徹のこと聞くたびに俺も頑張ろうって励みになったよ。だから……お前も頑張ってんのに俺のグズグズな話なんか聞かせらんねぇなってさ。」
「……それで……連絡してくれなかったの?」
「………ま、そんなとこ。ごめんな。本当、自分勝手でさ。」
俺の言葉に俯いていた及川が顔をあげる。
「本っっ当、勝手だよねぇー。それに、カッコつけだしバカ悠はさ!」
腕を組みふんぞり返りながら話す及川は、さっきまでと違い、いつもの及川に戻っていて、その姿に少し安心した俺。
「どうとでも言えどうとでも。俺が悪い。」
「………そうやって自分が悪いって言って自分だけで解決しようとすんのもダメなとこだよねー。」
「………。」
「もう、本当むかつく。………………俺だって悠が辛い時、苦しい時に……力になりたかったのに。」
だんだんと弱くなっていく語調。
「…………徹。」
「……………あの時………話せてたら………支えあえたかもしれないじゃん。」
再び及川の頬を伝う涙。
そういやコイツって昔から泣き虫だったな。
_The reason.