第4章 理由
「・・・・・・そ。」
「知ってるか?”最強”って。”最も強い”ってことだろ?・・・NYだぜ?色んな人種の血の混じるNYのハイスクールでだぜ?・・・始めはね、俺凄ぇ!って喜んだ。”最強のアタッカー”なんて凄ぇって思った。U-19の日本代表にも選ばれた。スパイクは向かう所敵なしってほど完璧に決まる。もちろん試合も勝てる。俺のいたハイスクールを2年連続で優勝に導いた。」
「・・・・・・悠・・・?」
頬を伝う
水
一度吐き出したら最後、
止まらない言葉。
目の前の及川はただ黙って俺の言葉を聞いていて
「だけどよ、気がついたら「よっしゃあ!」って後ろ振り向いたとき、前を見たとき。・・・誰も俺を見てなかった。”スパイクは決まって当然ブロック不可””アイツにボールがいったらそこで終了””サーブなんて止められるはずがない””アイツ以外の選手を狙え!””お前だけでうちは勝てる””任せるから好きにしろ””お前は自分達と違う”・・・気がついたらそんな言葉しか俺には掛からなくなってた。___孤独。チームの中では攻撃の要、だけど、一人だった。」
そっと俺の頬に触れる及川の指。
「誰も追いかけてはくれない。誰も同じ目線に立ってくれない。”チーム”のはずが俺だけ”特別”。____求めていた、目指していた場所は、”孤独”しかなかったんだ。・・・それでも、俺はバレーが好きで、好きで、辞める気もないし、もっと巧くなりたいって思った。でも、代表チームでもエースに選ばれ、あんだけ凄ぇ若にまで”お前が一番だ”と言われた時、目の前が・・・真っ暗になった。」
「・・・・・・・・・。」
____loneliness.