第4章 理由
【 及川 side 】
♪~♪~♪~
あれ?携帯鳴ってるけど………
あ、悠のなのね。
ディスプレイに表示された文字を見て何だか悩んでる様子の悠。
ちらりと向けてくる視線に笑顔を返すと、チッ、と舌打ちを返された。
………もう、素直じゃないなぁw
ま、そんなとこも悠らしいけどね。
ディスプレイに目を戻した悠は、俺たちから少し離れたところで通話ボタンを押した。
・・・?
俺達に聞かれたくない内容?相手?
うーん・・・
隠されると余計に気になっちゃうよね、こうゆうのって!!
_____ってことで、
及川さんっ【地獄耳モード】ON!!←
え?そんな技持ってんのかって?
ないに決まってんじゃーん。思いつきだよ思いつき☆
「もしもし____なっ・・・ちょっと、待てよ。いや・・・そうじゃなくて・・・」
出だし早々言いよどんでいる悠。
首の辺りを掻く仕草・・・あれは悠が困っている時の癖。
ケンカか、なんかなのかな?
「あ――・・・うん、それは俺が悪かったよ。ごめん。・・・だから、え?いや何でそうなるんだ?」
あ、
及川さん、気づいちゃったかも。
これ、・・・・・・”痴話喧嘩”だ。
てことは、相手は彼女か・・・。
あれ?
俺なんか、イライラしてる?
「・・・おい、アイツ、喧嘩でもしてんのか?」
「・・・さあ?彼女かなんかじゃないの?」
言って傷つく自分。
俺の知らない悠の姿を知っている相手にズルイと感じてしまう。
俺は知らないんだ
この約5年、コイツがどこで、どんな風に、どんな奴らと過ごしていたか。
日々、何を思い、考え、楽しんで、悲しんでいたかを。
どんな時、笑ってた?
どんな時、誰に、どこで______
遠い。
遠いよ。
手伸ばしても、お前がどこにいたのかすら分からなかった。
_____Outcast is hate.