第3章 帝王
コートの向こうにはしたり顔の及川。
____なんだ、アイツ。
すげー良いサーブ打つんじゃん。
あぁ…ワクワクしてきた……
全身に血が巡る感覚、たまんねぇ。
次は完璧に受けきってやる。
んで、お返ししてやんよ。
俺はこう見えて律儀な男なんでね。
本気スパイク、お前にぶち込んでやる。
トッ
再び高く上がるボールをめがけて跳ね上がる及川の体。
降り下ろされた右手から繰り出された豪速球は、
あっという間に自分の近くまで近づいてくる。
先程よりも深く膝を曲げ、腕に届いたボールの衝撃を最大限に受け流す。
勢いは殺したまま優しく前方へ上げると、綺麗な弧を描きセッターである矢巾の元へと吸い込まれていく。
「___矢巾…高めに。」
そう呟き、肺に酸素を送り込む。
「____っ!?」
高く上がるトスは、
俺に打たれることを期待していくかのようにゆっくりと、上へ上へと上がっていく。
助走をつけ思いきり踏み込めば、高く上がっていく体。
飛べ、飛べ
そして、
ぶち抜く________!!!!
「徹ぅぅぅぅうううっっっ!!!」
ネットの向こうの及川が跳ね上がり、その手がネットの上へと伸びてくる。
「悠――――――っ!!!!!」
バシンッ
掌に触れたボールを最高速スイングの勢いのまま、打ち抜く_____
バチィッ
「______っっ!?!?」
キュ
床へと辿り着いた足。
自らの手を見つめたまま呆然とする及川。
ふぅ…
一息吐き、口を開く。
「……届いたか?俺の………本気。」
及川に人差し指を向け、ニィと笑みを含ませる。
ゆっくりと合う視線。
その目は開かれたままで。
____Shocking!