第12章 合同合宿
___食堂で6人掛のテーブルにつき、俺の正面に木兎、その隣には赤葦と澤村、そして俺の両隣には黒尾と菅原が座っていた。
え?何で澤村たちがいるかって?
いや、俺も知らないからね?
気がついたら増えてたんだからね?
「でさー銀鏡はさぁ、何で青城なのよ?」
「そうですよ…!てっきりあのままNYで活躍されるのだと思ってました。」
覗き込むようにして笑顔で問う黒尾と、やや前のめりな感じで真剣な表情を見せる赤葦。
「なーなーっ悠って呼んでいーい?」
「ちょっ何言ってんスか木兎さんっ……いきなり馴れ馴れしすぎです。……ありえません。」
「そうか?こいつ初対面で俺のこと呼び捨てしてくるような奴だぞ?」
そしてマイペースな様子で絡んでくる木兎に、律儀に突っ込みをいれる赤葦とフォローなのか知らないがため息をつきながらちらりと俺を見てくる澤村。
………参考までにだが、俺の反対隣に座る菅原に至ってはニコニコと満面の笑みを浮かべながら俺を見つめる、という意味不明な行動をとっている。
…………何だこれ。すげぇ飽和状態なんだけど。
なかばお手上げムードになりつつあったが、とりあえず1つ1つ答えていくことにした優しい俺はこの状況の整理にかかった。
「……おい、ちょっと待て。1つずついくぞ。……まず、俺のことは好きに呼んでいいからね?……んで、何で青城かってのは、幼馴染みがいたから青城にしただけだ。」
「ふーん………じゃあ帰国は何で?」
「あ、それ俺も知りたかった!お前向こうでも大エースだったじゃん。」
黒尾と菅原の言葉に一瞬動きを止めた俺は、目の前にある昼食のカレーを口に運びながらゆっくりと話始める。
「………つまんなかったんだよ。"ただ"勝つだけの試合が。」
俺の言葉に不思議そうな表情を見せる面々、特に木兎に限ってはなぜ勝つことがつまらないのかわからないという顔をしていた。
「はは、わかんねぇって顔だな。………ま、お前らは経験したことねぇかもしんないけどさ。力の格差ゆえに対戦相手がはなっからやる気を出さない試合が続いたことってあるか?」