第12章 合同合宿
奇襲成功と言わんばかりの3人の反応に満足した俺は、その後も今まで我慢していたうっぷんを払うかのように暴れに暴れ(5割程度の力だけど。)、気がつくと得点番はえげつない結果を示していた。
「うわぁ………ちょっと銀鏡張り切りすぎちゃったね。」
そう呟いたのは、先に試合が終わっていたらしい黒尾。………と、その隣に音駒のセッターがそわそわとした様子でこちらを見ていた。
すると
「あれあれー?黒田くんってば悠のファンとか何だか言ってたわりに、これでもだいぶ悠が加減してるのわかんないんだー?凄いファンなんだよね?」
ズイと前へと踏み出してきた及川は、黒尾に対し再び嫌みたっぷりに絡みに来たわけで。
しかし、黒尾はそんな及川を気にも止めずに平然としていた。
「………あ、もしかして"黒田"って俺のこと?まさか2回も間違えるとは思ってなかったからさぁ~。……さっきの話、加減してんのなんて知ってるよ。もちろん、ね?」
再び導火線に火がついた2人。
もう溜め息しか出ません。
至極どうでもいいバトルが再び勃発しているのをあきれ調子で見ていると、ポンと肩に何かが置かれた感触を覚える。
振り返ると同じく呆れた表情の岩泉が俺の肩に持たれながら、くいと顎を及川たちの方へと向けた。
「おいおい。メンドクセェなぁ……あれ。」
「……だな。とりつく島もねぇよ。」
「つか、いつの間にあの黒尾ってヤツと仲良くなってんのな。お前。」
「まーね。あいつ面白れぇし。」
俺の答えを聞いていた岩泉がしばらくの間黙って俺を見つめていたが、すぐに大きなため息をもらし首を横に振った。
その行動について訊ねてみたが、岩泉は「別に」と答え、及川たちの仲裁に入りその場を意図も簡単に納めていく。
さすが、俺の相棒。及川の扱いはぴか一だ。
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午前中のゲームがすべて終わり、俺たちは昼食を取るべくぞろぞろと食堂へと向かっていた。
「あーっやっと昼飯だ~!」
「ははっだな____っうぉおっ!?」
伸びをしながら吐き出された花巻の言葉に笑いながら賛同していると、突然背後から両腕をガシッと掴まれてしまった。
「「はいはいはーい。銀鏡くんはコッチですよー」」
___Sometimes you just have to give up.