第12章 合同合宿
___ピーーーッ
鳴り響く笛の音が試合の始まりを高らかに伝える。
「一ッナイッサー!」
俺の声と同時に高らかに上げられたサーブトス。
ギュキュ、キュッ
助走から踏み切ると
____ドカッ
強い勢いのあるボールが鋭い軌道を通り、梟谷サイドへと飛んでいく。
直ぐ様反応した梟谷の3番がレシーブに入るが勢いを殺しきれずに、やや返しが乱れた。
「悪いっカバーッ!赤葦っ」
「っはい」
サイドラインギリギリのところへ返ってきたボールをきっちりと捉えるセッターの赤葦。
キュキュ、と床を蹴り、スパイクモーションに入っている木兎が勢いよく踏み込んだ。
「俺に寄越せっ!赤葦ィッ!」
その顔つきはとてもイキイキとしていて、こいつも俺と同じようにスパイクが好きなんだな、と感じてしまう。
「木兎さんっ」
赤葦の手からふわりと放たれたトスは木兎の元へと届けられ、後方へと引かれていた右腕がボールを捉える。
ドカッ
バチィッ
「___っ!」
放たれた強打はブロックに飛んでいた松川へと当たり、そのままサイドラインを割った。
「ブロックアウト!」
さすがは全国レベルの強豪校のエースと言える力強いスパイクにブロックした松川の顔の顔が歪んだことからも、その威力は相当なものだと思われる。
「木兎っナイスキー!」
「ヘイヘイヘーイ!この調子でドンドンいくぜっ」
盛り上がる梟谷とは正反対に至極落ち着いた様子を見せる青城。
それもそのはず、日々青城のメンバーたちは俺を相手に練習をしているため、全国レベルの強打には慣れているのだ。況してや、スパイクに関しては国内に俺の右に出る者はいない中、全国5本の指に入る選手と俺とではその威力の幅も広いわけで。
「さ、次1本で切るからねっ」
「「「オオッ」」」
何事もなかったかのような俺たちの様子に梟谷メンバーの表情が緊張を孕んだものへと変わっていく。
そんな中___
「次も俺に寄越せよっ赤葦ーッ」
「…………はぁ。」
「なっ!?赤葦っもっとテンション上げなさいよ!」
木兎だけは高いテンションを保ったまま赤葦に絡み、盛大なため息を食らっていた。
そんな2人のやりとりに再び親近感を抱いた俺は前衛に立つ及川をちらりと見やる。
____Influence.