第12章 合同合宿
音駒対生川の試合は面白かった。
生川というチームは"サーブこそ最大の攻め"と言わんばかりにすべての選手のサーブスキルが高く、威力もかなりのもので。
強打はもちろんだが、ジャンプフローターやらドライブやら様々な攻め方をしているところは見ていて面白い。
………まぁ、正直言うと、
及川や岩泉の方が威力も技術も格上なんだけどね。
もちろん、俺も、ね?
そして、そのサーブを攻撃の要とする生川に対し、ねちっこいレシーブでサーブを拾う音駒はさらに面白く、俺の心をざわつかせる。
「__黒尾っ!」
「あいよっ」
トン……ッ
生川の1番が打ったジャンプサーブを実にしなやかな動きで黒尾が勢いを殺す。
ふわ
つい先程までは強打だったボールは黒尾の絶妙なレシーブにより丁寧に勢いを消され、次の瞬間には柔らかな弧を描き、セッターらしき小柄なプリン頭くんの元へ戻っていくボール。
「っだっしゃぁーいっ!!」
その後ふわりとあげられたトスはモヒカン?くんにより生川サイドに打ち込まれ、音駒の得点へと繋がった。
………ここで気になることが1つ。
それは、あのモヒカンくんと烏野の田中がキャラ被りしてること。
何だろう。すごく似ているんだが。
「………銀鏡さん?どうしました?」
今も俺の隣で音駒と生川の試合を見ていた赤葦が、不思議そうな顔でこちらを覗き込んでいる。
どうやら無意識に顔に出ていたらしい。
「……いや、大丈夫。ちょっと音駒のモヒカンくんと烏野の奴がキャラ被っててさ。思わすわ笑っちまった。悪ぃ。」
「……いえ。あの、銀鏡さん音駒のプレー気に入ったんですか?」
コートに向けられたままの赤葦の視線がちらりとこちらを向く。
昔の国見のように(今は俺にだけ違うが)あまり表情に出ないタイプなのかその表情に色はない。
「んー?まぁな。ああゆうしつこいレシーブやらブロックやってくる奴らは割りと好きなんよ。……その方がぶち破った時、楽しいだろ?」
ニィ、と口角を上げ笑うと、俺を見ていた赤葦の顔がほんのりと赤に染まった。
「っ。そういうとこ、最高に格好イイっすね。」
赤葦の言葉にデジャブを感じた俺。
ついさっき黒尾も似たようなこと言っていたような。
……そういえば、国見と及川にも絶賛されたっけ。
___It is with mind.