第12章 合同合宿
「___オイッリエーフッ!腰が高ぇよ!!もっと下げろっ」
隣コートから聞こえてきた声は音駒のこれまた小柄なリベロくんによるもので、言われたらしき長身のハーフ?くんは見事にサーブレシーブを明後日の方向へと飛ばし、烈火のごとく怒られる始末となった。
何だありゃ。
レシーブが売りの音駒のくせにあんまり巧く無ぇな、アイツ……
そんな2人のやり取りをコート上の黒尾がやれやれと言わんばかりに顔を左右に振り、呆れたポーズを取っているのが見え、くくっと小さく笑う俺。
すると___
「___あの」
背中に聞こえた声。
振り向くと、梟谷のエース木兎に鋭い突っ込みをいれていた赤葦が立っていて。
「………お前、さっきの。………で、俺に用か?」
表情に出にくいタイプなのか、特に変わらぬ表情のまま真っ直ぐに見つめてくる赤葦。
「……その、先程は木兎さんが色々とすみませんでした。あの人いつもあんな感じなんで。……お恥ずかしい限りですが。」
「あ?木兎のあれか。いや、マジウケたよ。……お前との掛け合いもね。勝手に親近感湧いちゃったしな。」
俺の言葉に目の前の赤葦の目が見開かれる。
しかし、俺は何故そんなにも赤葦が驚くのか分からず思わず顔をしかめてしまう。
あれ?
俺、何か変なこと言ったっけ?
親近感湧いたって言われてそんなに驚くもんかね。
考えども答えらしい答えに辿り着かない。
しかも、当の赤葦はというとさっきまで驚いた顔してたのに、今はうつ向いたまま黙り込んだままで。
「………あ、のさ……何か俺変なこと言っちゃった?」
俺の問いかけにピクリと反応した赤葦がゆっくりと顔を上げた。
___speculation.