第12章 合同合宿
アップが終わり、今は監督の話を聴きながら、この後からの流れの確認をしていた。
今回の合宿では、1セットずつひたすらゲームをやっていく、というもので、勝ち負けが重要、というよりは色々な攻撃や守備を試したり出来そうな面白い内容で今から既に期待に踊り始める胸。
「___1回戦目である森然戦のスタメンは、及川、岩泉、花巻、松川、金田一、国見、渡、でいく。」
………が、しかし、1回戦目から4回戦目までのスターティングオーダーが読み上げられていく中、いつまで経っても呼ばれない自分の名前に嫌な予感を抱き始める。
はぁ………またかよ……
こうゆう練習試合の時ってあんま使ってくれないんだよなぁ、監督。
「続いて4回戦目、梟谷とのゲームのオーダーは、及川、岩泉、松川、花巻、金田一、渡それと、銀鏡。……以上だ。午後のオーダーはまた後程伝える。」
半ば諦めムードのまま4戦目のオーダーが呼ばれ始めると、ついに待望の名前が聞こえ思わず小さくガッツポーズをした俺の姿を隣に立つ岩泉が、くくっと小さく笑う。
「………んだよ。笑うんじゃねぇ、一。………しょうがねぇだろ?このまま出番なしかと思ってたんだよ。」
照れ臭さを誤魔化すために軽く岩泉の肩へ拳をぶつけると、悪ぃ悪ぃ、と笑顔で両手をあげ降参のポーズをとる岩泉。
「悪かったって。だってよ、お前スゲェ嬉しそうでさ。くくっ………あ、」
「あ?」
笑っていたと思ったら急に遠くを凝視して動きを止めた岩泉。つられるようその視線を追うと入畑監督が手招きしている姿が見えた。
「ほら、呼ばれてんぞー。悠。」
「はいはい。」
その後、入畑の元で告げられた内容は、今回の合宿で俺は本来のポジションである"スーパーエース"として攻撃のみに専念してよい、ということだった。但し、その代わりとして合宿前半戦はあまり出場出来ないらしい。
………これは試合好きな俺にとっては極めて残念なことなのだ。正直、ポジションなんてどうでもいいから試合に出させてもらえた方が何倍も良い。
内心、ため息を漏らしていると、少し離れたところから黒尾が手を振っているのに気づく。
「おーい、銀鏡~。烏野の奴等が到着したみたいなんだけど、一緒に迎えに行かね?」
どうせ出番もないし、行ってやっかね。
__I want call.