第12章 合同合宿
体育館に入ると一斉に向けられた視線__
事前に入畑監督から聞いていた話からここにいるのは音駒、森然、生川、梟谷のメンバーであろうことが分かる。
俺たちの登場に静まり返る雰囲気の中、長身で黒髪をツンツンと立たせたヤツがつかつかとこっちに向かって歩いてくる。すると、ソイツは何故か俺の前まで来るとピタリと足を止めた。
「めちゃくちゃファンなんですっっ!!」
「____へ?」
突然現れたソイツはがっしりと俺の右手を両手で掴むとその目をキラキラと輝かせながらやや興奮気味にファンだと告げた。
え、ちょ、ナニコレ?!
突然どうしたよ……?ファン、とかって嬉しいけど今じゃなくても………
………あれ?こいつ音駒の練習着着てる。
確か大地が音駒の主将はツンツンヘアーの黒髪で目付きが悪いって………
状況把握に手間取ったため、しばらく驚いたまま動けずにいたが、自分を落ち着かせ自分と大差のない目付きの悪い黒髪くんに笑顔を向ける。
「………ありがとう。……なぁ、お前って音駒の主将やってる"黒尾"か?」
俺の言葉に目を見開かせ驚く黒尾が、俺の手を掴んでいた両手にぐっと力を込めたのを感じた。そして、直ぐ様その表情は期待に満ちた笑顔へと変わっていく。
「えっ!?銀鏡、俺のこと知ってんの?!うわ~やべぇな!嬉しすぎて泣きそう。………でも、何で俺のこと知ってんのー?」
「ん?あぁ、大地……澤村から教えてもらったんだよ。烏野の。……やっぱそうか。お前、ねちっこいレシーブすんだってな。ゲームやんの楽しみにしてたんだよ。」
話している最中、嬉しそうに笑う黒尾の眼がきらりと光る。
「あ~~~っ何かもう。色々堪んないわ、銀鏡。あ、そだ。後で本気中の本気スパイク観せて~?こっちの皆も観たいだろーし。なぁ?お前ら。」
黒尾が振り返った先には、うんうんと首を縦に振る一同がいて。あまりに真剣な一同の様子に思わず吹き出す俺。………しかし、こうゆう場面で黙っているはずのないアホ川……もとい及川がずい、と俺と黒尾の間に入り込み、にっこりと笑顔を見せた。
__The assumption.