第12章 合同合宿
【 赤葦side 】
んなーーーーーー!?!?
再び訪れた衝撃に俺も周囲のメンバーたちも開いた口を閉じることが出来ないでいた。
だが、当の銀鏡さんはというと銀鏡さんの右手を両手で掴んだままの黒尾さんに対して、始めは驚きの表情を見せていたが今は笑顔で、ありがとう、なんて答えている。
その懐の深さに感銘を受けつつも、やはり一番に感じたことは、"出し抜かれた"ということだった。
俺がこう思うのは仕方が無いことで、自分がセッターというポジションを選んだのも、いつかあの人に………銀鏡さんにトスをあげたい、と思ったからなのだから。
全ては中学1年の時、初めて銀鏡さんのプレーを見た時からずっと俺の心は其処にあった。
"あなたにボールを届けたい"
それが出来たらどれ程幸せか。
そのためにやってきた今までの努力。
アメリカに行ってしまったことで諦めていた同じコートに立つことが、キラリと光る可能性とともに帰ってきた。
__aspiration.