第12章 合同合宿
【 赤葦side 】
"衝撃"
とは、"意外な出来事などによって強く心を揺り動かされること"を指す言葉だが、まさに今の俺はその状態にあった。
体育館の入り口に現れた宮城県の青葉城西高校のバレー部員の中に、こんなところで会えるはずもなかった人の姿が視界に入り込み、途端に俺の目も頭も心も……身体の全てが機能を停止させた。
何故
何故アメリカに居たはずの"あの人"がここにいるんだろう。
驚きのあまり声も出せずに固まっていると、音駒の黒尾さんの声が耳に届く。
「う………わ………あれホンモノの銀鏡悠じゃん。」
"銀鏡悠"という音の響きにびくりと跳ねる身体。
俺の様子を不思議に思ったのか木兎さんがこちらを見ているが、そんなことに構っている余裕すらなくした俺は自分が酷く動揺していることに気づく。
「おーい。赤葦ー?」
煩いなぁ……今それどころじゃないんだけど。
覗き込んでくる木兎さんに思わず本音が漏れそうになるのを我慢しながら、一言だけ返すことにして。
「…………すんません、木兎さん。俺、転校することにしました。」
「んなっ!?てっ転校っ!?突然何っどーゆーこと!?」
慌てる木兎さんを無視しつつ、視線は銀鏡さんに向けたままでいると、視界の横から黒いツンツンとした髪型の男__音駒の主将である黒尾さんがつかつかと青葉城西……というより銀鏡さんの方へと歩いていくのが見えた。
………そして次の瞬間____
「めちゃくちゃファンなんですっっ!!」
___Surprise and confusion.