第12章 合同合宿
翌朝__
「………んだよ。東京っつっても宮城と対して変わんねぇじゃねぇか。泊まってたホテル近辺のがよっぽど都会だろ。」
「……郊外じゃさすがに高層ビルとか無いんだなぁ。……何かがっかりだわ。」
移動のバスから降り、辺りを見回していた岩泉と松川が期待はずれというようにため息を漏らす。
そんな二人の様子に花巻と俺は笑いを堪えていた。
「くくっアイツら田舎もん丸出しだべ。」
「まぁ仕方ねぇだろ。東京初めてみたいだし……つか、見ろよ貴。あっちで勇太郎も凹んでら。」
俺は花巻の服を引っ張り、俺の視線の先では、バスから降りてきた金田一が周りを見渡し肩を落とす姿が見え、吹き出しそうになるのを堪える俺たち。
そこに聞こえてきた溝口コーチの集合の声。その声の元に集まると、入畑監督の隣に立つ男性の姿に視線が向かう。
皆が集まったのを確認した入畑がゆっくりと口を開く。
「さて、前にも話した通りこの方は私の旧友である梟谷学園高校バレー部の監督の夜中(やなか)さんだ。今回の合宿はこの夜中監督のご厚意によって参加させてもらったわけなので、感謝の気持ちを忘れるんじゃないぞ。」
村主と呼ばれた梟谷学園高校の監督は大きく頷くと、俺たちに視線を向けたまま両手を広げ、歓迎の言葉を述べる。
「青葉城西高校の皆さん、ようこそ。紹介にあずかりました梟谷学園高校バレー部監督の夜中です。今回の合宿は我がグループの中では定番の合宿なのだが、君たちが加わることでお互いにとって新たな刺激となり、向上し合うと思っています。」
『『『ハイッよろしくお願いしあっすっ!』』』
夜中監督の言葉に全員で返事を返すと、夜中は嬉しそうに頷き、ホーホーと笑みをこぼした。
「………では、さっそくだが他のメンバーたちと一緒に皆さんもアップに入ってもらおう。荷物を置いたら体育館に集合してください。案内はこちらの者が___」
__その後俺たちは宿泊棟に荷物を置き、着替えを済ませ体育館へと向かった。
俺たちが使用する第一体育館へと向かう中、俺の心は新たな選手たちとの試合に期待感が高まっていく。
たどり着いた先の体育館には既に集まっていた他校の選手たちが各々肩を回したり、会話をしていたが、俺たちが入り口に足を踏み入れると一斉に動きを止め、こちらを凝視した。
__Joint training camp.