第11章 祝杯
白鳥沢に勝利し、見事俺たち青城が宮城県地区予選を制した翌日___
本来であれば月曜日は部活が休みのはずだが、監督から話があるとのことで、俺たちは第三体育館に集まっていた。
「__昨日は闘志溢れる見事な試合だった。私たち青城にとって最大のライバルである白鳥沢相手に、あれほどまで有利な試合運びが出来たのも新戦力である銀鏡のおかげだ。その銀鏡の活躍が柱となりお前たち全員の底力が引き上げられた結果だろう。」
監督の俺を賞賛する言葉にざわつく心。今まで幾度となく聞かされては周囲の反応に心を痛めてきた俺は、微かにくすぶる不安を感じつつ、ちらりと周囲に目を配る。
「____っ」
驚いたことに誰一人と俺の活躍を妬んだり、次元の違うものとして諦めを抱いたりすることなく、みんな揃って納得という顔つきで強い頷いている。
その様子にどう反応すべきか分からなくなった俺は、少しうつ向き平常心を装う。
やはり青城に来て正解だった。
1仲間として受け入れてもらえることが、必要とされることが、こんなにも幸せなことなのだと教えてくれた。
込み上げてくる熱いものをぐっと抑え込みながら俺は再び監督の声に意識を戻した。
「__知っての通り、東京地区予選は2週間後から始まる。その間の1週間を使い、更なるスキルアップを目指し特別合宿を行うことにする。場所は……東京、梟谷学園グループの学校だ。」
梟谷……?有名なのか……?
監督の言葉にざわつく周囲。
梟谷学園という耳慣れない校名に頭に?マークを浮かべていると、隣にいた及川がくい、と、俺のTシャツを引っ張った。
「……梟谷は全国にも出てる東京の強豪だよ。……優勝争いする程ではないけどね。」
「ふーん。そこそこってとこか。……あっちで1番強ぇのはサクんとこ……井闥山だろ?」
「そうだと思う。あそこ去年の優勝校だしね。………ねぇもしかして井闥山のサクサも悠至上主義なの?」
じっとりとした視線を向けてくる及川に返事の代わりににっこりと笑顔を返した。
…………ある意味、若よか"ややこしい"んだけどな。
ま、徹は嫌うだろうよ。
………あいつはお前の嫌いな本当の天才だしね。
___Expedition.