第11章 祝杯
及川と岩泉の相変わらずなテンションに呆れていると、そんな二人のやりとりを完全に無視していた花巻たちが手招きしているのに気づき、呼ばれるがまま近寄っていく。
「ねぇ、これ全部新品だよね?すんごい高そうなんだけど……」
花巻と松川たちが服を広げながら尋ねてきて。
「あー……うちの母親さ「悠の母ちゃんはスタイリストなんだよ~某有名雑誌専属のね。だから仕事がてら買ってるみたいだよ。」………何でそれをお前が答えるんだ?」
「当たり前じゃんっ!だって俺は悠の__ぎゃんっ!」
及川の脳天へと左手炸裂。ざまぁみろ。
最後まで騒がしいままお開きとなった祝賀会は、みなそれぞれ気に入った洋服たちをお土産に笑顔で解散した。
そして今、俺の家に残っているのは恒例化してきつつある及川と岩泉の2人。……まぁ当然のように2人とも泊まる気でいるわけで。
今は宴の後片付けをしつつ、3人でだらだらと過ごしていた。
「………あのさ………帰りん時のウシワカさぁ、何かいつもと違ったよね。」
及川の言葉に片付けをしていた俺と岩泉の手が止まる。
「……それ俺も思ったわ。………なぁ、悠。お前の前だとヤツはあんな感じなのか?」
俺の返事を待ってじっと見つめてくる及川と岩泉の視線を全身に感じながら、俺は困ったような笑顔を返す。
「いや……うん、アイツ俺に心酔してるからね。ちょっと極端な感じも多いんよ。………それに前にもちょろっと言ったけど、若はあぁ見えてかまってちゃんだから俺が若とじゃなくて、お前たちと一緒にいるのが寂しいんだと思う。」
「………心酔っていうか執着だよね!しおらしくしちゃってさ、調子狂うよ。」
___Three classic.