第11章 祝杯
「___そういえば」
宴もたけなわというところで、発せられた岩泉の一言から惨事は始まった。
「この前言ってたやつ、今から見てもいいか?」
"この前"とは先日岩泉と俺で世間話をしていた際のことを示していて。俺の親から毎月山のように送られてくる洋服を岩泉がもらってくれるという話で。
「あー……いいんだけどよ。俺最近段ボールすら開けてねえから、何入ってるかわかんねぇけど、適当に漁ってもらえる?」
「段ボールって……相変わらずだな、お前の母ちゃん。」
「……ま、ね。服買うのが仕事みたいなもんだからね、あの人「悠~~~っ!」っうぉっ!?」
あきれ調子の岩泉に同意していると、先程まで花巻たちと話をしていた及川が俺の背中に飛び付いてきて、完全に油断していた俺は危うくソファから落ちるとこであった。
「………こんの……クソ川っ!てめぇ……ふざけんなよ?!毎度毎度バカみてぇに飛び付いてきやがって……」
「わ~悠ってば、怖い顔!せっかくの美男子が台無しだよ?」
……何だコイツ。
すげぇイライラするんですけど。
美男子とかキモイし何なんだよ、全く………
つか、一のヤツ、ちゃっかり距離開けやがってんな!?
苛つく俺にお構いなしな及川は、俺と岩泉の会話を聞いていたらしく段ボールの在処を説明し出していた。
……そして、問題だったのはその内容で。
「__で、悠のベッドの横にある段ボールはこの前俺がチェックしといたからどれでも持っていって大丈夫だよ。でも、窓際に置いてある段ボールはまだ確認してないから先に俺が確認するよ。」
「「…………。」」
テキパキと指示を出すように話す及川の様子に唖然とする俺と岩泉。
「……確認って何?」
「え?だって、悠が好きなデザインの服は抜いておかなきゃでしょ?それに、及川さん好みの服も先にチェックしとかないとね♪」
俺の素朴な質問に、さも当たり前と言った顔で答える及川。
「………おい。いつから及川はお前の嫁になったんだ?」
岩泉が哀れんだ目を向ける中、項垂れる俺。
「………全く覚えがございません。」
__Fact of shock.