第11章 祝杯
___牛島と別れ、帰りのバスへと向かう中、及川と岩泉は黙りこんだまま口開くこともなかった。俺自身もあえて話しかけることもせずに黙って歩いていたが、青城のメンバーと合流した時には二人とふもいつもの調子に戻っていた。
「___ってことでぇ!!今日は祝賀会やろーよ!場所はもちろん悠の家でね♪」
「いいんじゃない?やろーよ。祝賀会。な?松川お前も来るっしょ?」
「おー行く行く。つか、悠勝手に会場にされてっけど、いーの?」
白鳥沢に悲願の勝利をあげた青城メンバーたちは、皆一様にテンションが高く笑顔が溢れていた。そんな中、祝賀会をやろうという及川の提案に乗っていくメンバーたち。
俺も一緒になってバカ笑いしながら、しょーがねーなぁ、と悪態を付きつつも及川の提案を飲んでやる。
「狭いけど、文句言わねぇならドーゾ。つか、腹減ったし、人数分飯作んのもメンドイからピザでも取ろーぜ。」
「いいな、ピザ!早く食いてぇ。………つか、結局何人来るんだ?」
後ろに座っていた岩泉が俺の隣に座る及川を押し避け、顔を前へと出してきた。
その事に抗議の意を示すアホ及川を無視していると、間も無くして及川の頭に落とされた岩泉の愛ある鉄拳。
「~~~~~っ」
煩いヤツが撃沈した車内は落ち着きを取り戻し、松川が参加メンバーを数えていた。
「とりあえずスタメンと……国見も?あーはいはい。矢巾もか?わかったよ。……じゃあ、9人か。そんぐらいならお前ん家広いし、余裕だろ。」
俺も俺もと必死に手をあげる国見と矢巾の姿にくくっ、と小さく笑いながら、俺は隣で頭を押さえ痛みに悶えている及川の肩に頭を乗せ、寝る体制に入る。
「……んな広くねぇし。まぁ、どーにかなるべ。……悪ぃ。ちょっと寝る。」
そんな俺の様子にふう、と小さく息を吐いた及川だったが、その口許は緩んでいて。
「お休み……。帝王サマ♪」
自分の頭を撫でる及川の手の感触が気持ちよくて、俺はそのまま深い眠りに落ちていった。
_____Loose feeling.