第10章 最大の好敵手
「___なっ!?ちょっウシワカってば何してんの!?」
動揺する及川を気にも留めず、牛島は話始める。
「………お前の守備は凄い、そんなことは知っている。……だが、俺はお前が守備にまわる姿を見たくはない。やはり悠にはスーパーエースというポジションが合っている。」
「………毎度言ってるけどお前、俺のこと偶像化し過ぎじゃねえ?確かに俺は元々超攻撃型の選手だけど、別にそこにこだわってる訳じゃないしな。」
「俺はお前がどう言おうと、そうあるべきだと思う、と言っている。悠……お前には影響力がある。どこにいてもお前は常に強い"光"だ。それ故扱いは難しい。……だからこそ、白鳥沢に来るべきだった。………俺と………共にあるべきだった。」
抱き締める力は強まるが、それと反比例するように弱々しくなる牛島の声。
………何だ。結局は寂しかった、って言いたいんだろ?
素直じゃねぇな、全く……
はぁ、と小さくため息を漏らした俺はポンと俺の肩に顔を埋める牛島の頭を撫でると、ぴくりと反応する牛島。
「………ごめんな。……若。ありがとう。」
「____っ!………お前はいつも……」
言い出して黙りこんだ牛島に不思議に思った俺が、その顔を覗きこむと、真っ直ぐに見つめ返してきた実直な視線。
「……それでも、お前は俺の"特別"なんだ。それは変わらない。」
それだけ伝えると、俺から体を離し、去っていく牛島。
その背中を眺めながら俺は小さくため息をついた。
……ったく、ブレねぇなぁ。若。
___Real intention.