第10章 最大の好敵手
着替えを済ませた俺たちが帰りのバスへと向かっていた時、同じくバスへと向かう白鳥沢の選手たちが少し前を歩いていた。
その中の1人が俺たちの存在に気づくと、間もなくして呼ばれた名前。
牛島は進む一向から外れ、俺の到着を待っているようだった。そんな牛島の様子にぴくりと反応する及川と岩泉がちらりと俺に視線を送る。
「___若か。」
俺はそんな2人に困ったような笑顔を向けながら、先に行くよう伝えると、及川たちがそれを頑なに拒否し、結局は俺と及川と岩泉がその場に残った。
真っ直ぐに見つめてくる牛島と向き合いながら、その口が開くのを待っていると、先手必勝と言わんばかりに口火を切った及川。
「試合前にも言ったけど……今回は俺たち(青城)の勝ちだね。ウシワカちゃん♪お前の分まで全国で暴れてくるよ。」
勝ち誇ったように腕を組み、ムカつくイケメンスマイルを向ける及川だったが、牛島の表情に変化はない。
「………そうか。今回のお前たちの勝因は間違いなく悠だろう。………だが次は白鳥沢(うち)が勝つ。」
「むっかつく!本っっ当お前のそうゆうとこ嫌い!負けたくせに偉そうっ!!」
「うっせぇな!悠はうちのエースだ。エースが活躍して勝つのは当たり前だろーが!!」
相変わらずな牛島の嫌みのない本音に苛つく及川と岩泉。そんな二人の様子に内心ため息を付きながら、俺はポンと二人の肩に手を置いた。
未だ怒りを露にしながら振り返った二人に困ったような笑顔を向けながら、視線を牛島へと向ける。
「………若、お前何か別のこと言いに来たんだろ?」
俺の言葉に一瞬目を見開かせた牛島。
そしてゆっくりと近づいてくると、そのままガバッと抱きついてきた。
「___っ!」
___Feelings of Ushijima.