第10章 最大の好敵手
青城の勢いが収まることのないまま再び始まった試合。既に3点決めると言った約束の内、1点を決めた俺は2点目を取るべく花巻から及川へと渡ったボールへ意識を向けていた。
「___5番(悠)来るぞっ!」
白鳥沢の12番が俺を警戒する中、既に及川はトスフォームに入り、俺も一度ジャンプモーションに入るが、前衛に立つ牛島たちの反応を見て、床を蹴りレフトへと移動し再び強く床を蹴り上げ、ボールが待つ空へと飛ぶ。
ドゴンッ
完全にブロックを振り切りスパイクを放った景色は、何一つ遮るものはなく進むがままボールは床をついた。
「ぶ、移動攻撃(ブロード)っ!?」
驚きと悔しさの入り交じる表情を浮かべる白鳥沢の様子に、俺に移動攻撃の指示を出した張本人は満足げな様子でポン、と俺の肩を叩いた。
「さっすが悠。バッチリだったね♪」
「まーな。一のために最高の舞台を作ってやんだよ。……俺の仕事はあと1点だからさ。」
「その1点はどうやって取りたい?」
「……やっぱ若をドシャットだろ。」
俺の言葉に目をキラキラと輝かせる及川。そして次の瞬間にはムカつくイケメンスマイルを向けてきた。
「……それ賛成!」
岩泉へと繋ぐ1点を取るべく、目の前の牛島から放たれた超強打の強い衝撃を腕に受ける。ボールから伝わる俺の腕を弾き飛ばそうとする強い反発に負けじと腕に力を入れ後方へとぐぐっと抑え込む。
バンッ__ガッ!
「___っ!?」
俺の腕から弾かれたボールが打った主である牛島の腕に当たり、アウトラインを割った。
「ドシャット!ナイスブロックっ悠っ!」
ワアァァ!と館内に歓声が湧く中、俺はそっと岩泉に近づくと声をかけることなくポン、とその肩に手を乗せた。
___頼んだぞ、と。
青城のエースはピリッとした緊張感をまといながら小さくうなずく。
あと1点で試合終了という局面で焦りの色を浮かべる白鳥沢は花巻のサーブを丁寧に処理し、当然のごとく牛島へとトスをあげた。
ドガッ
しかし、青城のネット際に立つ及川たちがブロックの飛ぶことはなく
__The stage is fully equipped.