第10章 最大の好敵手
「凄いっす!!悠さんっ凄すぎです!!もう、本当一生ついていきます!」
俺の気持ちは無視されたまま大興奮の国見………とその後ろに立つ不機嫌Maxの男の姿。
「く~にぃ~みぃ~ちゃん……?少し頭に血が昇りすぎてんじゃない?……おかしいよね?こんなところで抱きつくなんて。」
ピキピキとひきつった笑顔で国見の肩を掴む及川と、それに怯むことなくいつもの無表情を及川に向けながら小さくため息を漏らす国見。
「………それ、及川さんが言いますか?……いつも散々抱きついてんじゃないっすか。」
「ん~~~?俺がやるのと国見ちゃんがするのでは訳が違「はいはい。うるせーぞ、お前ら。喧嘩なら向こうでやれ。」なっ!?喧嘩じゃないしっ!先輩から後輩への指導だもん!」
なおもギャアギャアと騒ぐ及川と呆れ調子の国見の首に腕を回すとそのまま二人を両脇に挟んだままコートを移動し始める俺。
「さすが選抜の主将!どっかの誰かよりよっぽど主将らしいな。」
「………だろ~?」
「ちょっ!岩ちゃんっ!それ俺のこと!?」
岩泉の言葉に及川が抗議の声をあげるものの、無視して反対コートまで引きずって行くと、解放する頃には少しクールダウンした二人は、すぐに始まるであろう第2セットに向けてのミーティングに頭を切り替えたようだった。
………全くコイツらは、しゃあねぇなぁ……
内心そんな二人に苦笑しつつも、自分自身の意識もミーティングへと向ける。
そんな中、及川から発せられた作戦は先程までの対応と正反対の内容であった。
「___って言うのはどうかな?定番だけど、後半にってところが向こう(白鳥沢)からしたら地味にキツいと思うんだよね。」
頷く一同と同じように頷いていた岩泉がちらりと俺に視線を向けた。
「………で、お前はいいのかよ。」
「ん?俺?………いいよ。後半だろうが幾らでも打てるし。………だからさ、土台作り任せるわ。」
及川の提案に同意を示すと、岩泉が一瞬黙り込んでしまう。その様子に疑問を感じた俺だったが、その疑問はすぐに打ち消されることになって
__1set of fate.