第10章 最大の好敵手
「____次は岩ちゃんが決めてくれるからね!」
及川がイラッとするウィンクを飛ばしながら岩泉に視線を送ると、あからさまにイラついた様子の青城の鬼こと岩泉の姿。
「あ?んなこと言わなくともわかってんだよ!ハゲっ!」
「なっ!?及川さんのどこを見てハゲだって言うの!?こんなにイケメンな及川さんにそんなこと言うなんて岩ちゃんバカなんじゃない?」
及川の言葉に鬼の顔色が変わる。
その全身にとりまく殺気だったオーラに関係のない俺までも背筋に冷や汗が流れるのを感じてしまう。
「………あ゛?何か言ったか……?」
「ジョ、ジョーダンです☆(ウヘペロ☆)___んぎゃっ!」
眼にも留まらぬ速さで打ち抜かれた及川の頭。
気が付いた頃には及川は自分の頭を抱えて痛みに悶絶していた。
うーん。
さすが!青城のエース!!
迫力が違うね!←THE他人事☆
気を取り直し(撃沈中の及川は放置)岩泉に向き合うと、真剣な眼差しと視線がぶつかる。
「……なぁ、悠。向こうの3番、どう思う?」
「3番?あの背の高いWS?…そうだな……若に隠れがちだけど、アイツも他のトコ(学校)だったらエースはってるレベルだな。……でもまだ、スパイクもブロックもコース読みが甘いし、多分ストレートはあんまり得意じゃなさそう。打つとき芯がブレがちなんだよ。……あと、厄介なのはクロスに逃げがちだが、クイックの速さを生かした速攻は金田一とかだとキツそうな感じすんな。」
俺の分析に頷いていた岩泉が口許に手を当てながら、少しの時間黙り込んでいた。
ふいに上げられた視線には闘志が漲っていて、その眼に射抜かれた俺はゾワ、と全身に電流が走る。
「……やっぱ持つべきものは最高の”相棒”だな。俺の中のもやもやがお前の分析で納得したわ。……つーことで、悠。………"囮"いけるか?」
ニッと意地の悪い顔で笑う岩泉に、同じように笑みを返す俺。
「くくっ………俺が囮やんなんて微塵も思ってねぇだろーなぁ。白鳥沢はよ。………お前のスパイク決まって目を白黒させるアイツらの顔、拝んでやろーぜ?」
「………このセットも残り6点。向こうさんを存分にかき混ぜてやるか。」
「おぉ。」
___Role.