第10章 最大の好敵手
【 岩泉side 】
名前を呼ばれ、ハッとする。
自分を呼ぶ方へと視線を向けると、鬼気迫る表情の及川が顔を小さく横に振った。
「………あ……っくそっ!」
及川が言葉に出すことなく俺に伝えようとしている内容を理解した俺は、自分の両頬をバチン、と叩く。
その姿を隣に立つ金田一が驚いたような表情を見せていたが、そんなことはどうでもいい。
___一瞬、悠の凄さに圧倒されて線を引こうとした自分がいた。
……くそ。及川に見抜かれて気づくなんて不甲斐ねぇ…………アイツから"相棒"と呼ばれている俺が、アイツから離れちゃダメだろーが!
俺は自分を奮い立たせると、心の中で同じコートに立つ幼馴染みたちに謝罪の言葉を呟いた。
………でも、アイツらに面と向かっては言わねぇ。
「__チャンスボールッ!松っつん!」
「オーッ」
白鳥沢コートから上がってきた高い弾道のボールが後衛にいる松川によって、及川の元へと届けられて。
___グダグダ言う前に、まずは"エース"の仕事すんだよ!!
キュキュ、
「レフトッ___!」
___I want to be both strongly.