第10章 最大の好敵手
「………ついに私たち青城の最大のライバルである白鳥沢との一戦を迎えるわけだが……どうだ、お前たち。万全を期しているか?」
『『ハイッ!』』
選手たちの闘志溢れる反応に監督の入畑は満足そうに微笑み頷く。
「………ならよし。全力で挑み、今日こそ青城が最強であると、見せつけてこい。………及川、銀鏡。頼んだぞ!」
「ハーイ☆」
「ウス」
青城のスターティングメンバーは及川、金田一、岩泉、渡/松川、花巻、俺という、青城最強のオーダーで。
「悠さんっ!絶対……絶対勝ちましょう!!」
「見せつけてやりましょう!悠さんっ!」
俺に向けて拳を掲げる国見と矢巾の姿に、たとえベンチメンバーであっても同じ気持ちを持っていることが伝わってくる。
「………任せろ。俺が若にウチが最強だってこと分からせてくっからさ。」
こつん、と拳をぶつけると二人ともキラキラとした笑顔を見せてくれ、そんな二人を見た俺は素直にその気持ちに応えようと__いや、応えなくては、と思った。
__ピーーー
笛の音が鳴り響き、整列する青城メンバーたち。
対峙する白鳥沢メンバーも牛島を始めとし、闘志溢れる顔つきをしている。
『『よろしくお願いしあっす!!』』
挨拶を済ませお互いのコートへと戻ろうとした時、チリ、と背中に感じた殺気。
振り返ると真っ直ぐに俺を見つめる全身から物凄い殺気を放つ牛島の姿。
「…………。」
沈黙の中、視線が重なる。
その視線にゾワゾワと全身に血が巡る感覚を覚え、同時に押し寄せてくるスパイクを打ちたい強い衝動。
逸る気持ちを抑えるようにゆっくりと瞬きをすると、再び開かれたときには牛島の視線は逸らされて。その瞬間、牛島の中に焦りがあることを直感的に感じ、思わず口角が上がる俺。
「__悠っ」
駆け寄ってきた岩泉が俺の肩に腕を回し、ぐいと自分の方へと引き寄せた。突然のことに驚いた俺だったが聞こえてきた言葉は俺の胸を熱くして。
"一緒に飛ぼうぜ、相棒!"
その言葉に岩泉たちが俺に全てを丸投げするのではなく、自分達と共に戦う仲間として捉えていてくれていることが伝わってくる。
………だとしたら、エースのやることは1つだろ?
__The friend who fights together.