第10章 最大の好敵手
【 牛島side 】
「____っん………牛島さんっ!」
チームメイトの声にハッとし、振り返ると心配そうに見つめてくる姿があって。
「………戻るぞ。」
一言だけ告げ踵を返すと、その後ろをついてくるチームメイト。
「あの………牛島さん、今日の青城に、新しく入った選手って___」
言われずとも誰を指しているかわかる内容に足を止め、ギロリと視線を向ける。
向けられたチームメイトの肩がビクリと跳ねる。
「………奴は………"銀鏡悠"は間違いなく最強の選手だ。………マッチアップは俺しか無理だろう。」
「さすが牛島さんっ選抜のチームメイトなら攻略法も分かりますもんね。」
視線を前へと戻し再び歩き始める。
「………残念だが、ヤツに攻略法など皆無だ。」
中学から白鳥沢に入学して今まで一度も感じたことのない感情が自分の中に渦巻いていく。
今、初めて想像してしまった
"負けた自分の姿"。
そんなネガティブな思考を払拭させるために、ふう、と大きく息を吐いて。
「………悪いが悠。俺たちも負けるわけにはいかない。」
ギラリと闘志をたぎらせた瞳がコートを捕らえる。
いざ、戦いの舞台へ___
___Special thought to a rival.