第10章 最大の好敵手
【 牛島side 】
「おいっ悠___っ!」
呆然とする俺を置いたまま去っていく背中に声をかけるも、奴は振り返ることなく仲間の元へと戻っていった。
何故、
どうしてその判断に至るのか。
俺はお前と近い次元に立つ選手として、的確なことを言ったまでなのに。
何故お前は俺を選ばない。
何故お前は俺の話を受け入れない。
俺自身が思っている以上に、悠に拒絶されたことは受け入れがたい事柄であり、ショックを受けている自分。
「何故だ……」
無意識に漏れた声。
しかし、その声は応えてほしい相手には届かない。
悠と初めて出会ったのは選抜代表に選ばれ、招集された時で、そのプレーを観た瞬間、全身に電流が走った感覚は忘れられない。
プロの試合を見ても感じたことはなかった全身が沸き立つような驚嘆の思い。
その瞬間から俺にとって"銀鏡悠"という男は、憧れであり、好敵手。そして、ともに選抜のWエースを担う相棒のような存在だと思っていた。
そもそもアメリカのNYでトップチームを率いて活躍していた悠が、俺の誘いではなく、岩泉の誘いで帰ってきたことも、白鳥沢ではなく青城を選んだことも全て気にくわない。納得がいかない事柄だった。
___Unintelligible.