第10章 最大の好敵手
___及川たちに合流すると、すぐに駆け寄ってきた及川と岩泉。よっぽど心配だった様子で捲し立てるように何があったのか、と聞いてくる二人に思わず苦笑する俺。
「はは、落ち着けって。いつもと同じだよ。白鳥沢へ来いって話。……もちろん断ったけどね。」
「「___っ!」」
俺の言葉にほっとしたように表情を弛める及川と岩泉。
「いや、お前が白鳥沢に行くわきゃねぇことぐらい分かってっけど、ウシワカの強引さに焦っちまった。悪ぃ………。」
「良かったぁ~~~~!万が一とか考えて不安になっちゃったし!!つか!ウシワカのヤツ、悠に執着しすぎじゃない!?しつこい男は嫌われるっての!」
「…………いや、お前も大概しつこいし、悠に執着しまくってんだろーが。」
呆れ調子の岩泉に勢いよく振り返った及川がキッと睨みをきかせる。
「俺はいいの!!俺と悠は特別な関係だから!!ウシワカなんかと一緒にしないでよ!あーヤダヤダッ!」
当然のごとく俺に飛び付きながら話す及川を黙って見ていた岩泉がひどく哀れんだ顔つきで俺へ顔を向けた。
「…………だそーだ。"特別な関係"らしいな。お前。」
「そうさな……幼稚園時代からの幼馴染みってだけだけどな。それ以下でも以上でもねぇな。」
「………まぁ、それが現実だぁな。残念だが、お前の一方通行らしいぞ。ドンマイ。」
ぽん、と及川の肩を叩く岩泉の表情はとびきりの悪人面の笑顔で。
わなわなと震えていた及川が叫ぶわ暴れるわ泣くわの大騒ぎになったのは言うまでもない。
「ヤダヤダッ絶ェッッ対違うもん!!悠が照れてるだけだし!!ねっ?悠「いや、んなもん微塵もねぇよ。」んなっ!?ど、どうしよう………本当に凹む………」ゲーン!
___Thought not to hand over.