第9章 初陣
【 烏野高校side 】
はぁ
……はぁ
…………はぁ
烏野メンバーの呼吸は荒く、あと一歩で負けそうになる気持ちを奮い立たせ、少しの希望を掴もうと皆一様に必死でもがいていた。
目の前に存在する自分達よりも洗練された強さを持つ青葉城西。
そして、その中で一際強く光る存在___
最強の名を欲しいままにする男
"銀鏡悠"
劣勢な立場に置かれた烏野のメンバーたちは"21ー10"という得点番の示す数字に、"負けたくない"という奮起する気持ちと圧倒的な強者の存在に恐怖する気持ちが混在していた。
「___一本切るぞっ!!」
コート内に響く主将である澤村の声に選手たちの瞳がキラリと光る。
「オオッ」
しかし、無情にもサーブを撃とうとしている男は、ギラギラと獰猛な目付きをした青城の2人目の大エース。
ヒュッと上げられた高いサーブトスを瞬く間に捕らえる長身の体。
ドッ
(_____俺がっ!)
キュ
ボールを取るべく動こうとする澤村の体。
____ズダンッ
その体が追い付く間もなく床にぶつかり飛んでいくボールを横目で追う。
「………な、何だよあれ。………今までのサーブと全然違うじゃねぇか………!?」
愕然とする澤村に届いた田中の声。
「…………今のアイツは、本気だ。」
ゾク___
澤村の言葉にメンバーたちの身体中に悪寒が走る。
ヒュッ
烏野メンバーの心情とは別に、ネットの向こうで再び上げられた高いサーブトス。
______ドガッ
悠から放たれたサーブが烏野コートを目掛けて飛んできて___
___Far-off wall.